楽曲について
前回までカノン進行、王道進行ときたので
この流れは小室進行を挟まねばと思い
この曲を選曲しました。
この三つのコード進行がJ-P0Pの大半を
占めているのでぜひ知っておきたいところです。
この曲は説明不要なほど
有名なイントロから始まります。
始まった瞬間に切なくも
期待感を感じさせるあのサウンド。
そこから疾走感。
コード進行という観点から分析してみようと思います。
※参考サイト
「Get Wild」コード進行
イントロ
度数 Ⅵm-Ⅳ-Ⅴ−Ⅰ
補足不要なほど、これぞ小室進行です。
Ⅵm-Ⅳ-Ⅴ−Ⅰ
この進行は90年代に特にたくさんの多くの
アーティストに使われました。
このコード進行と使うことで
独特に哀愁、高揚感を纏うことができるのです。
私の印象としてはデジタルロックに相性が良く
感じますね。
アナログなサウンドだけだと、
どうしても歌謡っぽさが強くなるのですが、
そこにシンセや四分打ちのリズムを加えることで
高揚感に拍車がかかります。
度数 Ⅵm-Ⅲm-Ⅳ-Ⅴ–Ⅵm-Ⅰ-Ⅱ
Bm-F#m-G-A
リズムインしてから「サッ」と雰囲気が変わるのが
さりげなくてカッコ良いですよね。
この雰囲気が変わった要因は転調にあります。
前半はkey Bだったのですが、ここでkey Dへ転調します。
ⅥmをImと見るとB→Bmへの転調なので
同主調の転調となりますね。
まるで、アクセル踏み込んで加速するような
疾走感と高揚感が増した感じです。
コード進行は、基本形の小室進行とは変形した感じ。
ただ、Ⅵm始まりでⅣ→Ⅴというながれあること
途中ⅢmがあるもののⅠと同様にトニックなので
これは派生バージョンの小室進行と見て良いと思います。
Bm-D-E
ここはどういう解釈をしたら良いんでしょうね?
最後のEはどういう意味があるのかは
特定できませんでした。
別に次に繋げるためというわけでもないでしょうし、
特段理論的な意味があるようには思えませんでした。
ただ、サウンドだけみるとこの無機質な感じが
曲の雰囲気にあっているので理屈ではなく
ノリと響き重視ということでだと思います。
Aメロ
コード進行Bm-F#m-G-A-Bm-D-E
度数Ⅵ-Ⅲ-Ⅳ-Ⅴ−Ⅵ-Ⅰ-Ⅱ
イントロの後半部分と同じですね。
イントロからAメロになだれ込む感じになってますね。
Bメロ
コード進行Bm onA-G-F#m-Bm
度数Ⅵm onⅤ-Ⅳ-Ⅲm-Ⅵm
ベースラインだけだと綺麗な順次下降ですね。
たぶん、この進行がしたかったのだなと伺えます。
しかし、響きとしてはBmでありオンコードによって
ベースの動きを狙った感じだと思います。
コード進行Bm onA-G-F#m-B
度数Ⅵm onⅤ-Ⅳ-Ⅲm-Ⅵ
Ⅵの部分、最後だけマイナーではなくメジャーになってますね。
これは、サビに対するピボットコードというものです。
サビで再びD→Bへ転調することになりますが、
この転調後のコードを一時的に拝借して
転調後の響きを予感させる効果を狙ってます。
いきなり転調するよりなんとなく転調を予感させる
ことでどこか馴染みやすくなる効果がありますね。
Cメロ(サビ)
コード進行G#m-E-F#-B
度数Ⅵm-Ⅳ-Ⅴ-Ⅰ
先ほど書いたようにkey Bへ転調しましたね。
これは、イントロの前半と同じkeyとなります。
聴いている人は意識はしないと思いますが、
イントロの出だしで聴いた響きだけに
馴染みを生み出す効果があると思います。
どこにも登場していないkeyではなく、
イントロで使ったkeyにするあたりが
耳に馴染ませるヒット曲のコツなのでは
ないでしょうか。
おわりに
ザ・小室進行といったところでしたね。
他に思ったことは、
前振りが仕組まれていること
でした。
ピボットコードやイントロとサビのkeyなど
唐突な転調をするイメージがある小室哲哉氏の
楽曲ですが、どこか哀愁があるのは
一旦聴いている人に潜在的に一度前もって
響きを聴かせているところだと思います。
今の、前線で活動してる
30代後半から40代の作曲家は
このコード進行を使っているため
最近のヒット曲も実は小室進行が多いのが特徴。
小室進行・カノン進行・王道進行の3つの組み合わせが
ヒット曲の形式でありそこに順次進行のベースラインが
鳴っていることが大半です。
この辺も踏まえて引き続き解析をしていこうと思います。
今回も読んでいただきありがとうございました。